過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

バラマキ政策でつくられたハコモノが利用できない

山里には、活用されないハコモノが残っている。農村体験施設、食品加工所、福祉センター、憩いの家、○○博物館。幼稚園、小中学校も、廃校になって残っている。
かつてのバブル時代、高度経済成長時の、いわばバラマキ政策でつくられた経緯もある。
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つくられた当時と、いまでは環境が変わっている。山里の仕事のメインであった林業は大不振。仕事はなくなれば、若者は〈まちなか〉に行く。ゆえに高齢者しか残らない。過疎・高齢化は進む。このあたりの山里は、10年で30%近い減少率だ。
豊かな自然があり、いろいろな施設はあっても、その利活用はできなくなっている。活用の企画も生まれてこない。それを担おうという元気ある人もあらわれず。
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だが、そうした施設を活用して、収益に結びつけながら山里の活性化につながる流れは、ある。今回の、インドネシアの家族によるハラールの食品加工もそのひとつであった。
地元の野菜などを購入して加工し、国内外にハラール食品として販売する。山里にも若い家族が移住し、〈まちなか〉と山里を結び付けられるという可能性があった。
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ところが、大きな「壁」があった。こうした施設は、国・県・市の補助金で作られたために、「転貸してはならない」など、条件面での縛りがあった。ゆえに、ハラール食品加工施設は、最終段階で、市から「待った」がかかり、貸してもらえず挫折した。(そのようなことが、最初からわかっていれば、契約するはずもないので、時間とエネルギーがじつに惜しまれる)
乗りかかった船で、いま他の市の施設もあたっているのだが、やはり「縛り」はきつい。
役所に問い合わせると、たとえば、こういう回答をもらう。 「国有林有償貸付契約において、第三者への転貸等が禁止されている。当該施設は、国及び県の補助事業により整備しており、処分制限期間内であり、国及び県への照会、承認を得る必要があり、相当の期間を要する。貸付けの可否はなんともいえない」など。
また大きな施設となると、浄化槽の点検代、水道光熱費など、維持費の負担がかかりすぎるのも難点だ。
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じっくりと攻めていけば可能性はあると思うが、なにしろ時間はかかる。かくして、施設は利用されないまま、いたずらに老朽化し、やがては解体となる。解体する際には、何千万円もかかることだろう。
だが、いろいろ調べていくと、補助事業であっても、市などに返還し、市からの指定管理を受けて、無償で活用している加工所などもある。
また、NPO法人などに無償貸与しているケースもある。運用次第では、可能性はないとはいえない。このあたり、すこし整理してみようと思う。まあ、時間のかかる話ではある。