過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

浦島太郎の物語

誰でも知っている「浦島太郎」。
いじめられた亀を助けた太郎は、その御礼に竜宮城に連れて行ってもらう。そこでは、美しい乙姫さまと、 毎日ダンスや宴会。 楽しい日々をすごす。そのうち、 やっぱり飽ききて故郷へ帰ろうとする。その時、乙姫様から土産に「玉手箱」を渡される。
ところが、故郷に戻ってみると、両親もいない、暮らしていた家もない。友だちもいない。見知らぬ人ばかり。まったくの、ストレンジャーだ。途方に暮れるばかり。
そんなとき、土産にもらった「玉手箱」を空けてみると、たちまち太郎はおじいさんになってしまう。そういう物語だ。
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まあしかし、おじいさんになってしまうのは、なんとも気の毒だ。若ければ仕事もできる。
年を取ってしまったら元気もない。仕事もできない。友達もできにくい。ネットワークもない。暮らす家もない。人生、暗転だ。これからの浦島太郎の人生やいかに……。
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なにごとも、物語には教訓があるのだが、さてなんだろう。弱いものをいじめを助けたら、いいことがある。亀さんを助けて、竜宮城に行ける。そこはわかる。
しかし、次の教訓はなんだろうか。たちまち、おじいさんになってしまうこと。
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楽しいことにうつつを抜かしていると、あとでしっかりツケが回って苦労するぞということか。遊び呆けて余裕のよっちゃんでいた人生が、晩年になって暗転する。ツケが回ってくる。
とても他人事とは思えない。 なんとなく、我が身のような気がする。まあそれでも、他人には体験できないすばらしい時を過ごしたのでよしとするか。
浦島太郎のその後の生き方は、読者に任されている。
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補足:
「けっして開けてはならならい」という約束を破ったから、その報いともいえるか。時間の相対論とも言えるか。竜宮城でも一日は、地上の10年、30年だったとかその帳尻を合わすために、太郎は地上の年齢になったとか。