過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ブレーメンの音楽隊とシェアハウス

あかりがいるので、絵本をよみ、動画を見せる。
こうした物語というのは、パータンはだいたいおんなじ。
まず、日常から離れて旅に出る。 そこに異質な仲間が加わる。かれらは、やがて試練に出逢う。
仲間はそれぞれの持ち味を発揮して、見事に試練を乗り越える。そして、めでたし、めでたし。しあわせな時を過ごす。「桃太郎」「オズの魔法使い」など。
-------------------
ブレーメンの音楽隊」(グリム兄弟)もそうだ。仲間が力を合わせて試験と立ち向かう。
こんなストーリーだ。年老いて役立たずとなったロバとネコとニワトリ。そんな三匹が、トボトボ歩いていると、道端で出会う。
みんなは「ブレーメンに行こう。そこで音楽隊をやろう」と希望をもつ。
ブレーメンに行けば、なんとかなる」と思っているようだ。中世のブレーメンという都市の響きと香り、なにかとてもいい。
とても華やか都市で、広場ではいろいろな音楽を奏でる人がいて、それで暮らしが成り立っていたのかもしれない。
途中、盗賊たちの家を見つけて、かれらを脅かしてその家を奪っう。三匹は楽しく暮らす。そんな話だ。
--------------------
まあ、仲間といっても、性格やそれでの生き方も違うのだから、いつかは仲たがいするかもしれない。
楽しい暮らしも、やがて飽きてくるかもしれない。近所の人から、ヘンな侵入者が来たと追い払われかもしれない。奪った土地と家だから、決して安定した暮らしじゃあない。
ともあれ、これは、老後の「シェアハウス」のような話だと思った。
--------------------
この山里には独居老人が多い。 ひとり暮らしは心細い。なにかと不便だ。買い物もたいへん。店も遠いし、歩けばたいへん。自転車は倒れて骨でも折ったら、寝たきりとなる。
何より寂しい。おしゃべりする相手がいない。友人もお年寄りなので、歩いて行き来するのも難しい。なので、テレビを付けっぱなしという人もいる。
だから、シェアハウスがいい。何より寂しさから逃れられる。暮らしの雑事は、交代でやる。生活費も安く上がる。誰かが具合が悪くなったら、同居人が見守る。
まちなかの若い人のシェアハウスはあるが、山里で老人のシェアハウスという可能性はないことはない。