家が倒れる前に、「敦盛」(あつもり)を舞ってもらった。
昨日、山口さんを訪ねて、談笑するうちにひらめいたことだ。廃材も山と積まれた解体現場で、舞ってもらうなど失礼な話だ。けれども、「それがおもしろい」と意気に感じてくださった。
舞う前に、ぼくが簫(Xiao 尺八の原型)を吹いて、露はらい。そして、舞っていただいた。
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「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻(ゆめまぼろし)の如くなり。一度(ひとたび)生を享(う)け、滅せぬもののあるべきか」
意味:人間界の50年など、天上界の最低の下天(化天)と比べれば、夢や幻のようなものである。ひとたび生まれて、滅びぬものなどあるはずがない。
もともとは、平家物語の笛の名手の平敦盛の物語がベースである。
信長は、今川義元と戦う桶狭間の戦いの前にも、この舞をおこなった。信長は、馬に鞭打って「者ども、出陣じゃ」と先陣を切って戦に出た。そして、本能寺で死ぬときにも、これを舞ったと言われる。
土地の神様たちも喜んだことと思う。
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解体4日目。きょう屋根を落とす。全部を更地にしたあとは、地元に回覧板を流し、村人たちとともに、イノシシ肉を食べながら語らいの場をもつ。
ま、こうして、いろいろ楽しく工夫しながら、神様にも喜んでいただいて進めていく。それがぼくの役目である。