あかりとお父ちゃんだけの時間。おかあちゃんは、まちなかに用事ででかけている。山里なので、なにしろ往復100キロ。
保育所から連れて戻ってきたが、おかあちゃんがいない。おとうちゃんだけでは、間がもたない。ぼくも仕事が山ほど。次から次へと案件の処理。お客さんもくる。
あかりはさみしそう。
「おかーちゃーん。どこ行ったの」。
「もうすぐ帰ってくるよ」。
「あと、どれくらい?」
「もうすこしだよ。30分くらいかな」。
「さみしい。おかーちゃーん」。
それで、iPhoneから妻にSkypeで、テレビ電話。おかあちゃんの顔を見ながら、あかりは会話。うれしそう。
「あかりちゃん待っててね。いま運転中だから、もうすぐだから」とおかあちゃん。
「でも、さみしいよー。はやくかえってきて」と、泣き出した。
まあ、みんなが体験してきた道。ぼくは、いまの年になって、体験していくわけだ。ほんらいなら登山おわり、たのしそうに悠々と休んでいるはずだ。けれども、これから山登りをしようというのだから。