過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「少額訴訟制度」を実行しようか

江戸時代は、ツケで商品を買って、年末に支払うということだったようだ。大晦日までに、やりくりして支払いをしてやっと安心。掛け金のあるほうは、なんとか集金して安心。そしてお正月を迎えるというわけだ。

井原西鶴の『世間胸算用(せけんむねさんよう)は、大晦日の借金取りを、なんとかやり過ごそうという苦心惨憺の物語。「大晦日は一日千金」が副題。

世の中には、約束した借金を払わない人がいる。「無い袖は振れぬ」で、「いま金がない」と居直る。催促しなければ連絡もない。申し訳ありませんという言葉もない。まあ、もちろん事情があることはわかる。

相手は、いちおうちゃんとした会社の経営者で社員もいるわけで、金がないはずはないのだと思うのだが。まあ、これは「払いたくない」というケースだと思う。

しかし、こちらは依頼された仕事をし、相手はちゃんと支払うと約束した。一年以上も前から催促し、請求書も三度、発行した。電話で催促もした。そのたびに、「払う。でも、いまカネがない」と言う。

そういう人には、ちゃんと催促しないと、逆に失礼になると思うことにした。

「なあに池谷など、ほっておけばいいさ」と思われているようで、よろしくない。こちらは、誠心誠意、時間も労力も知識も人脈もつかって、仕事をした。相手は、「ちゃんと支払う」と言った。で、「仏の顔も三度まで」である。ケジメを付けさせてもらわなくちゃ。

といっても、集金に行くのも、手間がかかる。催促のメールや電話をしてもナシの礫になる。こういう場合、どうしたらいいか

やはり法的手続きということになる。証拠書類も揃っている。

60万円以下の場合、「少額訴訟制度」がある。原則1回の審理で完了。双方の言い分を聞いたり証拠を調べて、直ちに判決が言い渡される。判決が下りれば、「強制執行」が可能になる。相手の会社の備品などを抑えることもできる。

相手にしてみたら、いろいろと不利だ。裁判所に出頭となり、判決が下され、放置していたら、強制執行に遭う。のうのうとしておれなくなる。大変な屈辱であり仕事にも差し障りが出るだろう。そこで、ちゃんと支払いをしなくちゃ、ということになる。

ということで、最後通告をした。「年内に払わないと、それを実行するよ。もうスイッチが入ったからね」と伝えておいた。

■こういうことは、理論的には知っていたのだが、現実にやったことはない。そこで今回、その実践をしてみよう。事務手続きなど、それ自体、手間とエネルギーがいる。相手の恨みも買うかもしれない。でも、これは実践の学びの機会と。

宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の「北に喧嘩や 訴訟があれば つまらないからやめろと言い」という言葉が思い起こされるのだが。

ま、この体験は、またいろいろな人の役にも立つと思う。ということで、年内に支払いがなければ、年明けに動く。