過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

いきなりトップスピードに入る仕事ぶり

「よしこれでいこう・いきたい」とあらたらめて定めたのは、「いきなりトップスピードに入る仕事ぶり」というところ。

これは、尊敬する脳科学者の茂木健一郎のよく言っていることだ。かれの講演などに接すると、いきなり高いエネルギーで話をすることがよくある。いきなり「トップスピード」に入るのだ。

準備も試運転も必要ない。ぐずくずしない。パッとその瞬間に集中力を上げる。あれこれ考える前にパッとやってみる。

そういう生き方、日常のあり方に、いきなりもっていきたいものだけれど。以下、茂木さんサイトからの引用。

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「すぐやる脳」をつくる「三つの法則」茂木健一郎

私自身、毎日トップスピードで、精力的に働くことができています。なぜなら、「脳内ダイエット」で自分が取り組むべきタスクをあらかじめ整理し、「やる」「やらない」というボーダーラインを明確にしているからです。

けれどもそうして脳内にスペースをつくっただけで、行動力や創造力が勝手に生まれてくるわけではありません。動きが軽やかで、アイデアがどんどん湧き上がる脳、これこそが「すぐやる脳」の重要な特徴です。「私は長年の経験から、そうした行動力、創造力を生み出すために効果的な三つの法則をあみ出しました。これからご紹介しましょう。

まず第一の法則が「瞬間トップスピードを習慣化する」ということです。これは、往年の人気プロレスラーの名前を取って「タイガー・ジェット・シン方式」などと言い換えることもあるのですが、ともかくいきなりトップスピードで、すぐに行動に移すということです。タイガー・ジェット・シンは試合のリングに入るやいなや、花束贈呈のセレモニーを待たず、いきなり相手につかみかかり戦闘を開始、一瞬にして会場の熱気を最高潮へと持っていきます。この「瞬間トップスピード」が、行動力強化のために必要なのです。

そもそも人間がいきなり行動を開始するためには、脳の背外側前頭前皮質(dorsolateralprefrontalcortex)という回路を鍛えることが必要です。

私がよく学生に言うのは、「キミたち、勉強するときにぐずぐずしているだろう?そうじゃなくて、勉強をしようと思ったら、パッとその瞬間にやるんだよ」ということです。

みんな最初はなかなかそれができないのですが、脳の回路も筋肉と同じで、毎日続けることで強化されていきます。
私の場合、仕事を立ち上げてからトップスピードに至るまでの時間が非常に速いと自負しています。

たとえばそれは、最近始めた英文のライティングでも効果を発揮しています。とにかくウォーミングアップもなしに、PCをパッと立ち上げたと同時に、すぐさま書き始めるのです。そこには準備をするという意識がありません。どうしたらできるのか?それは先ほども言った「特別に意識せず、その行為を習慣化する」ということなのです。

歯磨きでもするように、あれこれ考える前にパッとやってみるのです。何度か試しているうちに、ある日、考えずにできている自分に気がつくはずです。

第二の法則が、「雑談の時間をつくる」ということです。どうしても、日本人は準備や根回しに時間をかけてしまいがちです。それを物語るのが、「打ち合わせ」ではないでしょうか。
私自身、不要な打ち合わせはお受けしないよう心がけています。多くの打ち合わせでは、ほとんどの時間が本題とは関係ない話で終わっています。本来、この無駄な時間は、もっと創造的に使われなければいけないはずです。

だから私はメールで済む場合はメールで済ませ、創造的なコミュニケーションが必要な場合には雑談の時間を取るのです。雑談はとてもクリエイティブな行為です。特定の目的を持たない、創造性に富んだ自由なコミュニケーション。それは脳のマッサージであり、同時に様々な価値観が芽生える脳のサプリメントでもあります。

経済の話をしていたはずが、いつの間にか流行の漫才コンビの話にすり替わり、あげくの果てに、小学校時代の懐かしいケシゴム遊びへと脱線していって――。その場の雰囲気でガラリと変わっていく話の様子は、ほとんどミュージシャンのジャムセッションです。この雑談の時間をつくることで、創造力は大きく飛躍します。

結果、実質的な打ち合わせも省力化できるため、トップスピードでこなせます。まさ「に一石二鳥です。

第三の「すぐやる脳」の法則は、「ベストエフォート方式」です。真面目な人や完璧主義者にありがちなパターンなのですが、たとえば英語を勉強しようと決めて三日目までは続いたのに、何らかの理由で四日目にできなかったときに、「ああ、やっぱり私にはできなかった」「これだから、私はダメなんだ」と嫌気がさして、以後はすっぱりやめてしまうことがあります。

でも、よく考えてみてください。四日目にできなくても、五日目からまたやってみるほうが、そこであきらめてしまうよりはるかによい結果が待っています。「このように、あきらめてやらないよりも、途中からでもやったほうがいいじゃないかという考え方が、ベストエフォート(最善努力)方式です。「やる気を持って何かをすぐやるときには、「ベストエフォートでいいんだ」ということを、徹底的に自分に叩き込むことが大事なポイントになってきます。

もちろん私自身も何かを始めてみて、できない場合があります。
確かに、そのときには罪悪感や「あ、ダメだ」という気持ちも起こりますが、その「心のゴミ」のようなものを処理する時間が短ければ短いほど、その後の展開がよくなると実感しています。

このベストエフォート方式で、「やれる範囲のことをやる」という哲学を骨の髄まで染み込ませる。そうすれば、自分に対して言い訳をする必要がなくなります。うまくいくコツは、罪悪感などの「心のゴミ」をできるだけ速やかに処理すること。するととてもスッキリして、すぐやる勇気が湧いてくるのです。