過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

自分がしたいことをしている時に人間のパフォーマンスは最も高まる

学びたいことを学ぶ。身につけたい技術を身につける。「やりたいこと」だけにフォーカスする。

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僕からみなさんにお勧めすることはとりあえず一つだけです。それは「学びたいことを学ぶ。身につけたい技術を身につける」ということです。「やりたくはないけれど、やると食えそうだから」といった小賢しい算盤を弾かない。「やりたいこと」だけにフォーカスする。それは自分がしたいことをしている時に人間のパフォーマンスは最も高まるからです。生きる知恵と力を最大化しておかないと生き延びることが難しい時代にみなさんは踏み込むのです。
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http://blog.tatsuru.com/2018/03/23_0849.php

受験生にあてた内田樹さんの言葉だ。

「自分がしたいことをしている時に人間のパフォーマンスは最も高まる」。好きなことが見つかり、そこに踏み込んでいくと、奥が深くなっておもしろくなる。おもしろいから躍動してくる。疲れることはない。どんどんと知識も経験も深まる。ネットワークも広がる。

しかしやはり、小賢しい算盤を弾いてしまう。「やりたくはないけれど、やると食えそうだから」と。「偏差値」というモノサシがあるので、そこの高ランクに位置する大学、各部にみんな行こうとする。

好きなこと、学びたいことは、二の次。そもそもそも、なにを学びたいのかがわからない。まあ物事は、やってみないとわからないわけだけれど。

ぼく自身、つぶしが効くということで、法学部を選んだ。まったく法律に興味はなかった。授業はつまらない。頭に入らない。30年後に本人訴訟で裁判を仕掛けたとき、初めて法律はおもしろいものだとわかった。もう遅すぎた。

会社選びも、有名で大きい、一流といわるところを選んだ。仕事の中身など、二の次。配属される部署は、営業だったり、生産管理だったり、貿易だったり、株式だったりした。そもそも好きな仕事とはいいがたい。なので、やはりおもしろくなかった。深まらない。力が出ない。

そういう会社人生をやめてフリーランスになったとき、「はて、いったいオレはなにをしたいんだろう」「なにができるんだろう」ということに直面した。「やりたいこと」だけにフォーカスして生きてこなかったわけで、自業自得である。

好きなことはあれこれあった。けれども、漠然としている。ワザというようなものがあるような、ないような。なにより自分の土俵がどこなのか。ちっともわからない。

仕事とは「やりたいこと」をやるという甘いものじゃない。努力して耐えて達成していくもの。好きなことをしていたら食っていない。みじめな人生になる、そうした観念があったのだと思う。

まあそれでも、出会いの縁と直感によって動き出した。まったくのド素人が編集の仕事をするようになった。仏教がおもしろいので、学んでいくと、どんどんと深くなっていった。その関係のネットワークも広がっていった。そういう仕事も増えていった。

振りかえると、あの道を歩んでいたらよかった、せっかくの機会を生かしていたらよかった……、ああもったいないことをした。そういうたくさんの後悔がある。しかしまあ、すべて自分が「選択」してきたこと。選びとって進んできたことだ。

そんなことを思いながら、さてきょう一日の仕事は、きちんとこなさなくちゃならない。きょうも雨が降りしきる。