過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

さながら仙境の世界。だが、杉と檜ばかりでは。

ひとり黙々と鍬をふるう。ガチッ、ガチッ。こんな急勾配の畑だ。敷地内に先祖の墓がある。このおばあさんは90近い。さながら仙境の世界と感じた。

惜しむらくは、南面が杉ばかりなこと。これが広葉樹だったらなあ……。かつて至るところに杉や檜が植えられた。それらが生長した。しかし、伐ることはできない。伐れば赤字になるだけだ。杉や檜は、どんどんと上に伸びて、景色は見えなくなる。日陰になる。山里はそんなふうになっている。

手前の石段は、かつて栄えたお寺に至る道。戒光院という祈祷寺院で遠方から参拝者が絶えなかった。しかし寺の長女が、ガソリンを本堂内にぶちまけて全焼させてしまった。8年前のことだ。