過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ホセ・ムヒカ 世界で一番貧しい大統領のことばから

「どこであろうと、私は好きなように生きているだけだ。自分は貧しくなんかない。貧しい人間というのは、いつもカネばかり追いかけ、それにとらわれている人間のことを言うのさ」。

「挫折から起き上がること。人は生きているとかなりの回数の挫折を経験する。だが、そこから何度も何度も這い上がることが大事なんだよ」。

「目的に生き、何かに力をそそぐということは、何でもかんでもやればいいという意味ではないぞ。確実に言えるのは、私は今人生を最高に楽しんでいるということさ」。

……その率直な語りがとてもいい。ひとつひとつ胸につき刺さる。幸せな人のありようとして、シンプルでストレート、自分に正直というところを感じる。ああ、それに引きはえ自分は、というと……。複雑、不正直、ごちゃごちゃしているなぁ。

かれは反政府運動で、4度も投獄され、13年以上もの獄中生活をー体験している。

ウルグアイの第40代大統領を務めた。報酬の大部分を財団に寄付し、その質素な暮らしから「世界で最も貧しい大統領」としても知られている。

リオ会議(Rio+20)では、そのスピーチが話題となり、ノーベル平和賞の候補にもなった。絵本「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」(汐文社)などが、ある。

友人の竹内さんから「ホセ・ムヒカ 世界で一番貧しい大統領」(角川文庫)という本をいただいた。ほかにも数冊、おすすめの本を頂いた。

以下、その触りの部分だけ。
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色んなところからジャーナリストが自分に会いにやって来るのは、私がいつも彼らにフックを浴びせるからだと思う。それは私のせいじゃない。私はただ自分のありのままを話し、好きなように生きているだけだ。

信じられないのは、これからそれが変わってしまうということだ。世界各地で、こんなクソみたいなじいさんに関心が向けられていることがどうしても信じられないという連中は多い。私はそれについては特に何の努力もしていない。

どこであろうと、私は好きなように生きているだけだ。自分は貧しくなんかない。貧しい人間というのは、いつもカネばかり追いかけ、それにとらわれている人間のことを言うのさ。

現代の政治は、哲学と完全に決裂している。ウルグアイでも、世界中のどこでもそれは同じだ。これについてはここで議論することはできない。私の言っていることがこれっぽっちも理解できない政治家もいるんだよ。

私はいつも、自分に回ってきたことはすべて責任を持ってやってきた。歴史における偶然という現象についても説明する必要がある。私が生きているのも偶然だ。世の中には想像を超えた出来事、つまり偶然が存在している。偶然なんか存在しないなんていうのは真っ赤な嘘だ。因果と偶然、この二つは確かにこの世に存在している。

もし私が獄中生活を経験しなかったなら、これまでの私の人生は違うものになっていただろう。尻の穴が半分引き裂かれたようになっていたかもしれない。昔は私もこうではなかった。これが、私が若者に伝えようとしてきたことなんだ。

挫折から起き上がること。人は生きているとかなりの回数の挫折を経験する。だが、そこから何度も何度も這い上がることが大事なんだよ。

戦う前から負けたと思うような連中を見ているとむかむかするんだ。勝ったことをひけらかす必要はないが、絶対に勝つと信じて前を向いて進み、人生に意味を与えなければならん。

それと同時に、完全に勝利するなんてできっこない。だって、人生みたいに複雑な現象に、どうやったら勝ったと言えるんだい? それでもなお、人生という冒険に意味を与えることが大事なんだ。

情熱を持って、物質的な欲望を超えて生きなければならない。意欲的に生き、何かに力をそそぐということは、何でもかんでもやればいいという意味ではないぞ。

確実に言えるのは、私は今人生を最高に楽しんでいるということさ。
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ホセ・ムヒカ 世界で一番貧しい大統領」(角川文庫)より