過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

遠くの医者より近くのバイスタンダー(そばにいる人)と

大相撲舞鶴場所で倒れた市長の心臓マッサージについて。

Twitterでは、ためになるコメントがスピーディに得られる。テレビは、だらたらとつまらないコメンテイターが多すぎて時間のムダになることが多いと思う。

以下、Twitterから引用

                                                                            • -

これはドリンカーの生存曲線と呼ばれるグラフです。呼吸停止2分が過ぎてから、背筋が凍るような勢いで生存率が減っていくのがおわかりでしょうか。救命処置は時間との勝負です。猶予は2分しかありません。1km先にいるブラックジャックには救えないけれど、いまそこにいるあなたが救える命があります

大事なことなのでもう一度云います。1km先にいるブラックジャックには救えないけれど、いまそこにいるあなたが救える命があります。

例の動画の女性は、土俵にあがるなり躊躇することなく胸骨圧迫にかかっています。救命処置における時間の大切さを熟知した方の動きです。胸骨圧迫開始17秒後に女性がなにかを云ってかたわらにいる男性が腕時計を見る動作をします。これは間違いなく時間を計るように指示を出しています。

胸骨圧迫においては一定のbpmを保つことが大事です。1分間に少なくとも100回。テンパっているとテンポがずれるので、これはとても適切な指示です。おそらくあの場内アナウンス(ノーコメント)に遮られなかったら、女性は規定の2分きっかりと胸骨圧迫を行い、他の支持者に代わっていたでしょう

わたしが受けた講習では自衛隊のマッチョなお兄さんも参加していましたが、胸骨圧迫は5分持ちませんでした。動画では47秒でAEDが到着しますが、大規模商業施設や屋外だったらもっと遅れていた可能性もあります。胸骨圧迫はAEDが到着するまで行う必要があります。一人じゃ無理なんです。

救命処置講習では患者の状態を確認したあと、「助けを呼べ」と教わりました。一人じゃ人の命が救えないからです。119に電話する人、AEDを取りに走る人、胸骨圧迫が最低でも2名、ミニマムユニットは4人です。「おれは医者じゃないし」じゃねぇんだよ。やるんだよ。人の命がかかってるんだぞ。

くだんの動画を見てわたしが心の底から震えたのは「女性が土俵に上がったこと」ではありません。「男性が誰も土俵に上がらなかったこと」です。助けにきたのは女性が3人だけ。あの舞台が何千人入るのか知りませんが、男はこなかった。そのことを嘆いている男性を見かけません。それがいちばん情けない

もし誰かが倒れて、そのそばにあなたしかいなかったら。あなたが「医者じゃないし」と放置していたら一分、一秒ごとにその人の死亡率は跳ね上がっていきます。胸骨圧迫のやり方を知らない? 講習では「力の入れすぎて肋骨を折っても良いから、やれ」と教わりました。それくらい呼吸の復活は大事です。

もちろんきちんとした救命措置のやり方や、AEDの取扱いを学んだ方が安心です。都内の各消防署では救命講習を行っています。もっとも簡単な救命入門コースなら45分で受講証がもらえます。ぜひ応募してみてください。手応えがないという方なら、上級の各コースにも挑戦してみてください。

わたしは車の免許を持っていませんが、免許証を取ると車が欲しくなるってよく云いますよね。救命講習もおなじです。不謹慎かもしれませんが(かも、じゃねぇな)講習を終えると腕の見せ所がこないかと待ち遠しくなるし、地下鉄でもデパートでもAEDの標識に自然と目が行くようになります。

そんな人が一人でも増えれば、わたしの生存確率は目に見えて上がります。もちろん、あなたの生存確率も。遠くの医者より近くのバイスタンダー(そばにいる人)。あなたがいつかわたしの命を救ってくれることを願っています。長文失礼いたしました。

https://twitter.com/travis02130213/status/981833193513889792