過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

伊勢神宮に参拝したのは、歴代天皇では明治天皇が初めてであった

伊勢神宮は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)がまつられている。神社の中でも、もっとも格が高いとされる。

皇室の祖が祀られているのだから、歴代天皇は即位の後などに、かならず参拝したことだろう。

……そうおもっていた。ところが、伊勢神宮に参拝したのは、歴代天皇では明治天皇が初めてなのであった。(明治天皇は、明治2年に参拝)

伊勢神宮が、皇室の先祖を祀る神社として位置づけられたのは、じつは明治になってから、であった。

それまでは、庶民は皇室の神社として、伊勢に参拝したのではない。弥次喜多道中は、伊勢をめざして旅していく物語だ。幕末に流行した「おかげまいり」も伊勢をめざした。

伊勢が人気を博したのは、その外宮にあった。外宮には、豊受の大神がまつられている。いわば農業神である。護摩壇もおかれ、密教系の加持祈祷もされていた。効き目のある現世利益の要素が強い神社としての性格があった。

明治になって天皇を現人神(あらひとがみ)とする国家神道を樹立するために、伊勢神宮をすべての神社の頂点としたのであった。

その神宮が神仏併存していては具合が悪い。仏教的なものは徹底的に排除された。加持祈祷のための護摩壇は壊され、梵鐘なども外されたのであった。

ま、そのような背景もあるが、伊勢神宮は清々しいのは事実だ。参拝するには、早朝がおすすめ。夜明け前に参道を歩いて、朝日が輝く頃に本殿にたどり着くのが気持ちがいい。午後などに参拝すると、人はたくさんいるし、その神々しさ・霊気は半減してしまうように感じる。

参考資料:「神々の明治維新」(安丸良夫著 岩波新書)「天皇の祭祀」(村上重良著 岩波新書