過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

出版は構造不況業種になっている

中堅出版社の三五館が倒産した。「理性のゆらぎ」「アガスティアの葉」「一流アスリートの食事」などを発刊していた。

出版は構造不況業種になっている。みんな本を読まない、テレビとネットで十分。本を買わない。あるいはブックオフなど。まちなかに書店もなくなった。

けれども新刊本はたくさん出てくる。買い取りではなくて、委託販売なので、多くは返品となる。店頭に並べられずに返品される場合も多い。

本が売れないのに、出版点数は増えるばかり。どうしてかというと、出版社が「自転車操業」になっているからだ。

新刊を出して、取次(東販など)を通して書店に納品されれば、その時点で売上が立つ。売上金は取次から出版社に支払われる。なので、新刊を出すわけだ。

だが、新刊本が売れるということはありえない。かなりの確率で、返品される。返品になった本は、取次に返金しなくてはならない。
すると資金が足りなくなる。ので、また新刊を出す。このサイクルが止まると、倒れてしまう。まさに、ペダルを漕ぎ続ける状態。これが弱小出版社のありようだ。

知り合いの出版社の社長から、ときどき電話がかってきた。今月、新刊を出す予定の本が出なくなってしまった。なにか売り玉になるのがないか?と。絶版になっている本とか、編集が完了してもう印刷の一歩手前という状態の原稿、そういう本を何冊か紹介したことがあった。

出版というのは、いわばバクチみたいなところがあって、売れると見込んだ本が売れない、売れそうもないというのが売れたりもする。大きく当たればビルが立つ。別の出版社の社長は、本が当たってビルを買おうとした。が、競走馬を10頭も買ったことがあった。

このあたりが、出版のおもしろいところ。活字離れはすすんでも、本そのものはなくならない。本には大きな魅力がある。ぼくも出版の世界で仕事をし続けていく。