過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「なにを伝えたいか」に尽きる

いろいろと文章づくりの本を読んでみた。人に伝えるためには、わかりやすく、よみやすい文がたいせつ、と。そういった入門書はたくさんある。

まあしかし、いちばんの問題は、「なにを伝えたいか」に尽きる。伝えたいメッセージがない、あるいは薄弱だったり、つまらないと、どんなに文章が上手でも意味がない。逆に文章が拙劣でも、内容が深ければ心に響く名文となる。

それで思い起こすのが、野口英世の母シカからの手紙だ。年老いた母が、幼いころ習った字を一生懸命思い出しながら書いた手紙。活字にすると伝わりにくいけど、その字がすてき。母親の息遣いが伝わってきて、涙がでてくる。

おまイの しせにわ(出世)には みなたまけました
わたくしもよろこんでをりまする
はるになるト みなほカイド(北海道)に いてしまいます
わたしも こころぼそくありまする
ドカはやくきてくだされ
はやくきてくたされ はやくきてくたされ はやくきてくたされ はやくきてくたされ
いしょ(一生)のたのみて ありまする
にしさむいてわ おかみ(拝み) ひかしさむいてわおかみ しております
きたさむいてわおかみおります みなみたむいてわおかんておりまする
はやくきてくたされ いつくるトおせて(教えて)くたされ
これのへんち(返事)ちまちてをりまする ねてもねむられません
(明治45年 母シカが英世に宛てた手紙より抜粋)