過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

神社の参加がむつかしいところ

「神社・寺カフェ」をすすめているが、神社の参加がむつかしいところ。神職がおもてなしして、自由に語りあいができる、というのは、なかなか稀有なこと。大きな神社になれば、参拝してくれるのはありがたいが、いちいち対応するほど余裕がないと断られる。

神社はたくさんある。神社本庁に登録された神社だけでも全国には8万5千社以上。末社も入れるとおそらく20〜30万社。だが、ちゃんと神職が常駐しているところは、2万社くらい。ちなみに、寺院の数はおよそ7万5千か寺といわれる。ふたつを足せば15〜16万にもなる。コンビニよりも多い。コンビニは、全国で5〜6万店とか。

こうして神社はたくさんあっても、ふだんは集落で管理していて、無人だ。祭のときに祭場としてつかわれる程度。たとい神職がいても、お寺のように、それだけで暮らしていけるとも思えない。葬儀や法事を行う、境内に墓があるということは、「寺院経営」からみると、とっても大きいことだと思う。

さて前回、参加してくれた浜名総社神明宮さんは、いそがしくてむつかしい。初生衣(うぶぎぬ)神社は、電話してもまったく通じない。それで、今回の参加は、佐久間の「貴船神社」と水窪の「足神神社」のふたつ。ともに山中深くにある神社で、3月でもかなり寒い。

足神神社は標高890もある。その先は、長野県との県境、青崩峠だ。境内には清らかな湧き水が出て遠くから汲みにくる人が多い。健脚の神様をまつる。守屋宮司は、1300年間つづく西浦(にしうれ)田楽保存会の会長。国の重要無形民俗文化財の第一号。能楽の源流とされ、折口信夫などがよく訪れた。寒中、月が出て夜明けまで行われる。松明を焚いての仮面劇だ。そのあたりの話も聞ける。

貴船神社の田開(たびらき)宮司は、蕎麦雑炊をふるまってくれる。昨年いただいたが、これがとてもおいしい。雑炊をいただきながら、境内で宮司との語らいとなる。田開さんは、神道の教え、歴史など、なんでも詳しいので、ざっくばらんに聞ける貴重な機会だと思う。