過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

アイガモ捕獲大作戦

ほかの45羽は、マコモダケの池に移された。1羽だけ取り残されたアイガモがいるはずだ。ほうっておけば、稲穂が食べられてしまうので、はやく捕まえなくては。だが、まったく気配がない。鳴き声もしない。水をかき分ける音もしない。餌を食べた形跡もない。はたして、いるのか、いないのか。

いたとしても、2,000平米の田んぼのなかだ。広くて探せない。そこで、ランの出番。連れて行ったら、ヒクヒクと鼻を動かしていた。どうも、このエリアにいそうだ。そうして昨日、大友さんが、そこで見かけたという。飯尾さんは、今朝、稲穂が揺れているのが見えたという。じゃあ、いるんだ。やっぱり。

朝の6時集合。若林、飯尾、大友、池谷の4人組で、捕獲大作戦。まずは作戦会議。アイガモは俊敏なので、捕まえるのは難しい。ので、網を一箇所だけ開けておく。そこに追い込んで、外に逃がす。水面から出れば、捕まえるのは容易だろう、ということになった。

4人で田んぼに入り、そろりそろりと隊列組んで歩いて行く。なかなか見つからない。出てこない。ほんとうにいるだろうか……。不安になってきた。そうして、畦のところまできたら、突然、出てきた、出てきた。大きなアイガモだ。茶色の全身に、羽根のところだけ少し青みがかっている。おお、いたんだ、やっぱり。

しかし、追い込んだところで、すれりとかわされて、また田んぼの中に逆戻り。もういちど、振り出しだ。また、ソロリソロリ。お、出てきた。出てきた。隅に追い込んだ。必死でかれは網から脱走。一目散で地面を走っている。二人がかりで追い込んで、やっとつかまえた。やれやれ。

そうして、仲間のいる池に放してあげた。たった1羽で10日以上、暮らしていたことになる。さぞや心細かったことだろう。