過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

時間ができたらこれをする、この仕事が終わったあれをする

時間ができたらこれをする、この仕事が終わったあれをする、この件が片付いたら、こうする。つまり「いまはできない。けど、いつかこれをやる」ということを、よく言ってきた。しかし、実際のところ、なかなかできない。

なぜか。時間ができた時には、状況が変わってしまっている。あるいは、やる気がなくなっていたりする。別な忙しい仕事ができたりする。ぼくみたいに子どもができたり、とか、予期しないことも起きる。

会社員時代に、お世話になった課長がいた。よく一緒にお酒を呑んでは語りあっていた。「定年退職したら、これをやるんだ」と、よく夢を語っていた。だが、あと一年で定年退職というとき、急逝してしまった。

定年退職したら、田舎暮しをするぞ。あんな田舎に住んで、こんな古民家を改装して、と夢を語るひとも多い。しかし、定年退職してから、田舎物件を探して、やっとみつけた頃には、60の後半になったりする。そうなると、なかなか体力がついていかない。70を超えたら、さらに体力が落ちている。

ちかくにK談社の部長だった人が、山奥暮らしをしていた。60になって越してこられた。70になっても元気でいるつもりが、そうはいかなくなった。奥さんは、足腰が痛いと都会に帰ってしまった。その方も、70になったときに、都会に戻った。ぼくがお会いしたのは、都会に引っ越す一週間前だった。

「いつかこれをやる。こうなったら、ああする」といっても、そうはいかない。そこをよおく心得ておくのがいい。忙しくても、たくさん用事があっても、にっちもさっちもいかなくなっていても、きょうできることを少しずつでもやるしかないんだ、と思う。それがまた、とても難しいことなんだけど。