過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

川から水を引かなければ、米は作れない

耕作放棄地を蘇らせている。広さは約2反(2,000平米)。なにしろ20年もの耕作放棄地だ。草を刈り、トラクターで耕しながら草の根を断ち切る。何度も何度もトラクターで耕耘していく。やがて土が細かくなってくる。

畦を固める。水が漏れないように、しっかりと固める。さて、問題は水利だ。川から水を引かなければ、米は作れない。水は高いところから低いところに流れる。借りた4枚の田んぼのうち、奥の2枚は、どうも高い位置にある。川の水を引くとき、そちらまで流れていきそうにない。水を引くには、別の地主にお願いして、水を引いてくることになる。これは、ちとたいへんだ。

さてどうしようか。ひとつの田んぼを深水にすれば、奥の田んぼまで水は行き渡る。しかし、深水田んぼでは、稲は育たない。それならば、マコモを植えることにしようか。あるいは、大きく苗を育てて、手植えしようか。……などと、みんなで検討した。

まずは、実験。川から水を流してみよう。高低差がどうなるか、確認してからだ。それで、水路に仕切り板をつくって、はめ込む。水路に水かさが増して、水を引き込むことができた。じわじわと田んぼに水が入ってきた。明日の朝までには、行き渡ることと思う。高いところの田んぼに、水が入っていくかどうか。高低差がどうなるか。そこからまた工夫がはじまる。

土をいじり、水の動きを知り、木工も必要、微生物のこと、植物のこと、学ぶことがたくさん。なにしろ自然が相手だ。すべてが刻々と変化していく。変化に応じて知恵と工夫をはたらかせる。そうして、これはまったく一人じゃできない。仲間と力を合わせることになる。そこが学びだ。こうして、田んぼというのは、とてもおもしろいものとなる。