過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

まちなかで、定期的にお坊さんがかたったり、実践を伝える場を

池谷は、お寺に詳しい、お坊さんをたくさん知っているらしい。そう思われているのか、よく問い合わせがある。こんなはなしがあった▲Kさんは、まちなかの賑わい戦略を企画している。どこのまちもそうだが、駅の周辺は閑散としている。浜松もかつての賑わいはない。

けれども、海外からの旅行者や商談する人たちが、浜松のまちなかにかなりの数が宿泊している▲それが毎日、千人もいるのだとか。年間30万人を超える! けれども、とくに行くところもなく、コンビニに行ったり、マツモトキヨシに行って買い物するくらいだという。あるいは、仕事帰りの人たちがとくに行くところもない▲そういう人たちが、行ってみようかという場をまちなかにつくりたい、と。これまでのような歌とか食べもの屋台だけでは、人が集まるとも思えない▲やはりたいせつなのは、文化力。日本の伝統文化の発信がたいせつ、と。そこで、お坊さんがなにかやってもらえないだろうかと、相談を受けた。

たしかに、日本の伝統文化の発信はすごくたいせつ。外国のひとは、日本の伝統文化を求めている。生花、お茶、剣道、柔道、合気道。そして、神道、仏教▲でも、しかし、駅前でお坊さんになにができる。辻説法というわけにはいかない。お経をよんだからといって、おもしろくもない。袈裟衣を着て、たんに人寄せパンダみたいなのでは、お坊さんも納得がいかないとも思う。ということで、これは難しい▲まあ、一般の日本の人が、仏教の教えや実践を求めているのは、たしかだ。かつて、無着成恭さんや紀野一義さんが「南無の会」というのを立ち上げて、都心の喫茶店で、お坊さんの説法会をやっていたことがあった▲そんなふうにして、まちなかの大きな和室をお借りして、定期的にお坊さん、あるいは神職のひとが、仏教や神道についてかたったり、実践を伝える。そういう場があると、おもしろいと思う。