過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

田んぼを貸してもいいよ、と

「こないだ言っていた土地だけど、草刈りもたいへんなので、貸してもいいよ」。きょう、地主の方から電話があった▲そこは、いま借りている田んぼ(2反)の道を隔てた向かいだ。広さは1反(300坪=千平米)くらい。20年くらい耕作していない▲一昨日、田んぼの用水路を掃除する「井さらい」という作業にメンバー7名で参加した。地域の人たち総出の作業だ。その時、長老が話をつなげてくれ、挨拶したのがきっかけとなった。

昨年、4名の仲間で、一年かけて休耕田をよみがえらせた。完全無農薬・無化学肥料。おかげで雑草との戦いだった。夏の一月半は、毎朝、5時から1時間半かけて草取り▲収穫は、ほとんどの農家はコンバインで稲刈りと脱穀を同時に行う。だがぼくたちは稲を刈って天日干し。6段もの稲架掛けは、えらく目立った。こうして、とれたお米は500キロ。大豆は200キロになった▲ぼくたちは、よそ者なので、なかなか信頼を築くには時間がかかる。でもなんとか「まあ、ちゃんとやっているようだし、悪い連中じゃないみたいだ」と、地域の人たちに少しずつ信用がついてきたかもしれない。

あたりは一面、耕作放棄地ばかりだ。お年寄りは、もう耕作できない。若い人は帰ってこないし、田んぼなどやらない▲ならば、移住者とまちなかの人たちが協力して、すこしずつ無農薬の田んぼに蘇らせていけたらすばらしい。さいわい、今年は、浜松市の文化事業(みんなの創造プロジェクト)として、このプロジェクト(いのちめぐる農体験)が採択された。お米、蕎麦、大豆、ブルーベリーを、みんなでつくっていく▲安心・安全な食の確保は、これからますます貴重なこと。仲間で協力してつくるのは、楽しい。学びがある。ゆたかな生き方の智慧と工夫が集約されているのが稲作だ。近々メンバーを募ってゆく。ほんのスポットでも、協力したいという人は、どうぞ。