過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

山仕事の道具 トビ

これはトビという。鳥の鳶のくちばしにそっくり。間伐材をひろってきたときに、みつけた。山仕事の人の忘れもの▲材木・丸太を移動・動かす道具だ。丸太は水分を含んでいるので、とにかく重たい。手で持つとずっしりと腰にくる▲で、この鳶の嘴のような先を、丸太に引っかける。手前に引き寄せるとラクに移動できるのだ。

トビはむかしの山仕事の必需品。また江戸時代の火消しがつかっていた。当時は木造家屋ばかりで、ひとたび火事になると、延焼していく。大したポンプもないし水道もない。火消し若衆は、延焼を防ぐために、建物を叩き壊していく。そのとき、このトビを使った▲丸太をゴロンと動かすこともできる。嘴の先を丸太の下に差し込んで、柄のてっぺんを支点にテコの力を使う。かなり太い丸太でも動かせる。しかし、下手にやると足元に転がってきて大怪我するので要注意だ。