過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

呼吸に根を下ろす

呼吸に根を下ろす。それは、あちこちとさまよう心を、しかとつなぎとめることになる。どこにつなぐ?「いま・ここ」だ▲こころは、「いま・ここ」にいない。過去と未来に行ったりきたりする。瞬時も休むことはなく、さまよう▲憂い、悩み、苦しみは、過去を悔やみ、将来を心配するところから起きるのだと思う。そうして、過去や未来は、考えの中にある。思い煩いは、考えのなかにある▲しかと「いま・ここ」に生きることができれば、そこに悩みはないのかもしれない。

では、いかにして「いま・ここ」に生きることができるのか。それは、とても難しいこと▲具体的な実践として、呼吸が鍵だと思っている。呼吸に意識を向けるのだ▲呼吸に意識を向けると、考えを追わなくなる。考えが止まると、いまここに意識がはたらく。「いま・ここ」に生きることになる。

暮らしの中で呼吸を意識することは、あまりない。ほとんどすべてといっていいほど無意識な呼吸に生きている▲その無意識にしていた呼吸に意識を向ける。すなわち、吸う息、吐く息に意識を向ける▲そのとき、いいとか悪いとか判断しない。しかし、意識は呼吸からよく離れる。それでいい。離れていたらまた戻るだけ。離れていたことに気がつくだけでも、すごいこと▲これは、だれでもできる。子どもでも、瀕死の重病人でも、臨終間際の人でも。いつどこでもできる。いまの瞬間からはじめられる▲この実践法は、「いま・ここ」に生きるための唯一の入り口であり、究極的な実践法かもしれない。