過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

お米を自分たちでつくる道

お米は安い。安すぎる。米作農家が、農協に買ってもらう時の値段だ。昨年は一俵(60キロ)あたり8000〜8500円。ことしは天候不順のために、2割アップして、9600〜10500円あたりの模様▲大人が一年に食べるお米の量は、一俵(60キロ)。そうすると、一日あたり20円。お茶碗一杯あたり、7円とか10円くらいになる。ね、なんとも安いでしょう。

こういう価格だと、農家は手間ひまをかけられない。大規模な機械化の農法でないと、生計が成り立たない。化学肥料を使い、除草剤をつかう▲お米は主食だ。安全・安心なものがいい。農薬や除草剤の使われたものを、毎日、体内に摂取するとなると、長い間にわたって健康面に不安はある。だって草もほとんど生えない、昆虫も魚も鳥もいない。そんな田んぼにできたお米なんだから。

いちばんいいのは、自分でお米をつくること。完全無農薬で、手間ひまかけて、心をこめて。そういう暮らしを長い間、日本人はやってきた。自分の血となり肉となるものを、自分でつくるのは納得のいく暮らし方につながる▲だが、田んぼを借りるなど、至難だ。機械もない。作り方もわからない。時間もない。仲間もいない。

でも、いろいろな道はある▲たとえば、過疎地に田んぼを借りて、仲間をつどって週末農業。これは楽しい、やり甲斐がある。田んぼづくりそのものが、レクリエーションとなる▲あるいは、完全無農薬の農家から直接、買う。田植えや草取り、収穫のときにお手伝いして、一緒に米作りする▲ぼくとしては、ありあまる耕作放棄地を活用して、田んぼをよみがえらせる。まちなかの有志を集い、完全無農薬の田んぼづくりをおこなう。そういう道をさぐっているところ。