過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ふたたび「一日一絵」を

筋萎縮症の人の「一日一絵」という本を見た。その方は、もはや外に出かける力がない。しだいに筋肉が退化していくなか、身のまわりの道具を描いていた▲なるほどなあ、特別になにか美しい景色とか可憐な花とか、描かなくてもいいんだ。身近なもの、たとえば文房具とか、夕ごはんのおかずのサンマとか、歯ブラシとか、そんなものでいいんだな▲そうして、身の回りのものこそおもしろい。そう感じて、「一日一絵」をめざして描き出したのが30年前だ。

数年描きつづけてた日々は、たのしかった。いまそのスケッチブックを手に取ると、その頃の、暮らしの様子、心象風景が浮かんでくる。あの頃は、本社勤務でストレスが多くて、あえぐように描いていたんだった▲ふとまた、スケッチを再開しようと思いたった。道具は万年筆と水筆。これなら簡単にはじめられる▲きょうが一日目だ。さて、描き続けていって、どのようにワザも心も変化していくのか楽しみだ。