過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「当期利益至上主義」に拘泥する経営陣

日本を代表する大手企業・東芝不正経理(利益水増し)で、歴代トップ3人が引責辞任した。「当期利益至上主義」に拘泥し、目標を必達させるため上司から各現場にプレッシャーがかけられ、上司に逆らえない企業風土があったと指摘されている。

利益水増し・売上の先食いってのは、東芝のみならず、普通の会社ならよくある話じゃないかなあと思う▲どうしてそんなことするの? 経営陣は、会社のことよりも、ひたすら「わが身の安泰」を考える。なんとか見込みとおりの結果を出したい。当期の売上が見込み通りにならなければ、株主総会で追求される。なにしろオーナー社長じゃなくて、サラリーマン社長だからね。立場が弱い▲そこで、無事に株主総会を乗りきるために、「なんとしても、当期利益を出せ。こんな数字じゃ、だめだ。なんとかしろ」と各部門に指令をだす。

各事業部は無理する。で、無理すれば、なんとかなる▲たとえば、翌期の売上を先食いする。子会社や代理店に商品を押し込む。相手先には、締め日前に赤黒相殺して支払いに無理をさせない。海外に子会社があれば、どしどし出荷してしまう。連結決算は二の次。

ちがう会社だけど、ぼくの関わっていた部門だと、ドイツやイギリスの現地法人子会社を担当していたので、一船の出荷が100億円くらいの売上があるとする。で、「なんとかと売上を前倒しできないか」と言われる▲そりゃあ、無理すればなんとかなります。売上の基準は「出航日」、だけど、乙仲という海運貨物取扱業者に搬入する日をもって売上にすることはできます。「じゃあ、そうしろ」。なんてことになる▲しかし、そんなことすると、先食いしているだけなので、また来期、困ることになる。そしてまた、翌期の先食いをする。そんなことを繰り返してしまう。

トップは、株主総会を乗り切ればわが身が安泰。取締役たちも、同様。そして、事業部長やら課長やらの管理職は、上司の覚えがめでたいことが大切。それが出世に響く。平社員も同様▲そうして、みんな上を見て仕事をする。「上からの評価」を得るために仕事をするわけだ▲ぼくは、そういう仕事は、まことにつまらないなあと感じて、サラリーマンをやめたのだった。しかし、やめてどうするの? そこからがまことに、茨の道だった。サラリーマンで生きていくという人生を歩んでいたので、徒手空拳、どこでどう勝負していくのか、わからなかった。