過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

まさにこの「一歩」を踏みしめるのみ

春は、強風。いろんなものが飛び散らかっている。納屋の前に立てかけた雨戸が倒れている。その前に置いておいた唐箕が倒れている。ブルーシートが飛んでいる。いちどに片付けよう、まとめてやろうとすると、重荷になる。あとでやろう、そのうちやろうということになる。すると、さらにしっちゃか・めっちゃか。

「まずはひとつ」「そしてひとつ」。一つひとつやるしかない。雨戸をもとにもどす。「はい、一枚」「はい、一枚」。散乱している唐箕の部品を、「はい、ひとつ」「はい、ひとつ」ともとに戻す。台所は、洗っていないお皿や鍋が山のようになっている。ちと、うんざり。「はい、お皿ひとつ」「はい、鍋ひとつ」とこなしていく。

出会うのは、つねに「ひとつ」。おこなうのは、つねに「ひとつ」。動かすのは、つねに「ひとつ」。ものごとは、つねに「ひとつ」。「ひとつ・ひとつ」。その繰り返し。ものごとを、ぜんたいとしてみない。かたりまりとしてみない。 

そんなふうに、心がけることにした。そうしないと、物事、片付かない。登山もそうだよね。頂上まで、あとどれくらい。あと何時間、と思って歩いていると、疲れるし、楽しくない。つねに「一歩」。まさにこの「一歩」を踏みしめるのみ。