過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

侵略戦争? 自衛戦争?

「あの戦争は侵略戦争ではない、自衛戦争だったんだ」そういう論調がある。朝鮮半島や中国、ソ連国境まで出かけていって戦うのが、どうして自衛戦争なのかと素朴に思うけれども▲「ほうっておいたら、つねにロシアが南下してくるじゃないか。ロシアからの侵略に抗するために起きたのが日露戦争だし、満州国もそういう意味だ」という論もある。

ぼくには、よくわからないので、自衛とも侵略とも判断保留。ただ、あの帝国主義の時代というのは、アメリカもイギリスもフランスも、西欧の列強はさんざん他国を侵略していった。そして、そのことはちっとも、悪いことじゃあなかったという時代認識があったのは事実だろう▲「あんたたちがあちこち侵略しておいて、こちらが似たようなことをすると、けしからんというのは、おかしいじゃないか」と言いたいところはある。

さて、「日本は自衛戦争だった」ということの、引き合いに出されるのが、マッカーサーの発言だ。連合国の司令長官だったマッカーサー自身が、「日本は自衛戦争だった」と発言したいう▲そこのところを検索してみた。昭和26年5月3日、米国議会上院の軍事外交合同委員会で行われた質疑応答。以下、マッカーサーの発言。

「日本が抱える八千万人に近い膨大な人口は、四つの島に詰め込まれていたということを理解しなくてはならない▲(中略)日本には、蚕を除いては、国産の資源はほとんど何もない。彼らには、綿が無く、羊毛が無く、石油製品が無く、スズが無く、ゴムが無く、その他にも多くの資源が欠乏している。それらすべてのものは、アジア海域に存在していたのだ。これらの供給が断たれた場合には、日本では、一千万人から一千二百万人の失業者が生まれるという恐怖感があった▲したがって、日本が戦争を始めたのは、主として安全保障上の必要に迫られてのことだった」▲「自衛のため」と訳されることもあるけど、「セキュリティ」のため。まあ、安全保障のため、と。原文はこう。Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security.