過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

都会の若い人を結びつけられたら、山里に活気が出てくる

竹細工の匠・梅沢さんが、新茶を届けてくださった。無農薬・無肥料50年というお茶畑のお茶。しかも、手摘みだ。とても美味しい▲梅沢さんは、竹細工をしながら、お茶を栽培している。山奥で傾斜がきつく、機械では刈れない。だから、みんな手摘みだ▲50年にわたる無肥料・無農薬って、とっても貴重なことだ。ほそぼそと知り合いを通じて売るだけのようだが、パッケージを工夫して、〈ものがたり〉をつけてインターネットで販売したら、いけるんじゃないかと思う。

3反のお茶畑があり、茶工場までもっている。梅沢さんは82歳。ざんねんなことに後継者はいない。息子さんもあとを継がない▲「後を継ぎたいという若い人がいたら、お茶の作り方、製茶の仕方も教えてあげる。お茶畑も工場も、みんなタダであげてもいい」と言われる▲しかも、近くに大きな空き家もある。そこならほとんどタダ同然で貸してもらえるかもしれない。ただし、たいへんな山奥だ。4世帯しかいない限界集落。そして、みなさん高齢者ばかり。

こんなふうに、高齢になって後継ぎがいない、お茶畑をぜんぶ譲ってもいいという方はたくさんいる。近所の93歳のひとり暮らしのおばあちゃんからも、全部まかせたいけど、いい人いないかねと聞かれた▲都会の若い人を結びつけられたら、山里に活気が出てくる。当面の収入は厳しくても、いろいろ助成金を得てやっていける道がある▲たとえば、農林省の「新規就農支援制度」を活用できれば、40歳前なら、年150万円を5年間の補助してもらえる。こんな山里なら、十分に暮らしていける。

地元の産品に〈ものがたり〉をつけて、商品の価値を高めてインターネットで販売してさしあげる、空き家を活用して新規就農の人が来ることをサポートする。耕作放棄地や手放したいお茶畑を活用してもらう▲人と人を結びつけるのは、きめ細かな手間もヒマもかかる仕事だ。田舎ゆえにいろいろ誤解も受ける。そして、収益など上がるはずもない。ボランティアでは続かない▲本来ならば、行政の仕事だ。しかし、行政はそこまで手が回らない。ということなら、NPO法人でやらせてもらおうか。そんなことで、事業計画を立ててこれからプレゼンに向けて準備しているところである。