過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

郷土史家の木下さんを訪ねた  和文タイプを打ち込んだ本、さらには桜の植樹千本にはおどろいた

きょうは郷土史家の木下さんを訪ねた。今年80歳になる。著作は30冊ほどもある。つねに研鑽に余念がない▲ときおり訪ねては、北遠の歴史のことを学ばせてもらっている。いつも五時間くらいのお話になる。訪ねるたびに感銘することもしばしば。

若い頃に書かれたもので、郷土の豪族・天野氏の文書についての本をいただいた。ワープロのない時代のことで、なんと和文タイプを打ち込んでつくったという▲現職の警察官だった頃、仕事の合間に和文タイプを独学で習って、活字を拾いながら打ち込んだという。ぎっしりと文字の詰まった400頁もの本だ。 

もう体力がなくなった。去年から、もう桜を植えることは、しなくなった、と言う▲聞けば、毎年100本ものサクラの苗木を河川敷に植えてきたという。10年以上も続けたというから、千本も植えてきたことになる。

こんな大長老にしても、よそ者だから、と言われるようだ。自治会に言いたいことはあるが、あれこれ余計なことは言わないようにしている、と。わしがなにかいうと、「あの人はよそ者だから」と言われる、とも▲移住して、27年。東京で警察官をしていたが、しかし、もともと地元の方だ。けれども、いまだによそ者だとは……▲地元の人たちは、親のその親のまた親の代から住んでいる、しかもあちこち親戚つながり。50年も60年も幼い頃からつきあってきた人ばかりが暮らしている。それがまあ、山里というところ。