過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ストレスだらけの喫茶店が  本人はこだわりと美学なんだろうけど

世の中には、まったく自分本位で、客へのもてなしは二の次という店もある。そんなのは、中国やインドじゃあたりまえだけど、日本でもそういう店に出くわすと、おお! と新鮮な驚きがあって、楽しいこともある▲で、きのう書いたYコーヒーのことで、かつて行った店を思い出した。そこは、東京の国立市にある。谷保駅の近くのカウンターの喫茶店だった▲一杯300円、味もよかった。でも、ここは客にあれこれと、やたらと注意する店だった。

友人といったとき、おしゃべりしたら、注意された。だまってコーヒーをすするのみ。次に行ったとき、本を読んだら、読むなと注意された。次に行ったとき、手帳にメモしていたら、書きものをするなと注意された▲そうなると、瞑想的にコーヒーを飲むだけになるんだけれども、オヤジの雰囲気はよくない。眉間にシワをよせて堅苦しいオーラが全開。とても、ゆったりできやしない。

再び友人といってみた。ささやき程度の会話をしたら、また注意された。そして、こう言い放つ。「あなたは、うちの店にあわないので、もうこないでくれ」。さすかに、ぼくもムッとした▲「よくもまあ、そんな態度で店をやっていますね。たいしたものですよ」と皮肉を返して、店を出た。

あるとき、別の友人がひとりで入ろうとしたら、中からオヤジが「はいるな」とバッテンのジェスチャーをしたという。気の荒い友人は、あんな店、こんどたたきつぶしてやると息巻いていた▲まあしかし、そんな態度で客に接していたら、本人が疲れるだろうなと思った。ある種のこだり、あるいは美学なのかもしれないが、しかしストレスでヘトヘトになりそう▲で翌月。その喫茶店の前を通りかかったら、貼り紙。「店主が体調不良につき、閉店します」とあった。