過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

あたたかさとすずやかさ

こう寒いと「あたたかさ」がいい。あったか〜い、ぬくもりというのは、しあわせ、やわらぎ、ゆったりな感じがする。体があたたまると免疫力が向上するといわれているが、たしかにそんな気はする▲いっぽう体が冷えれば憂鬱、つらい、かなしい、きびしい、閉じた感じがする。やっぱり病気になりそうだ。

ところで、インドを旅してみると、あの国はまことに暑い。ヒマラヤ近くは別だけども。冬に旅してもクソ暑い▲ので、ありがたいのは、ぬくもりじゃない。「涼しさ」だ。とくに木陰での涼しさは最高だ▲あたたかい人だ、心があたたかい、というほめ言葉はインドにはないと思う。たぶん、すずやかな人だ、あの人って涼やかね、それがほめことばになるんじゃなかろうか。

お釈迦さまが、何年も森の中で厳しい修行をして、体力も限界。もうだめだ、というときに、村の娘スジャータがミルクのかゆを布施した。それを食して元気を回復して、川のほとりの菩提樹の下に瞑想して、ついに悟りを開いたといわれる▲インドのあの暑さを体験すると、お釈迦さまが菩提樹の木陰に坐ったのはよくわかる。木陰がなかったら、あの炎天下じゃ、とてもじゃないが瞑想なんてできないからね。

仏典にもお釈迦さまのことを、やはり清涼な方と呼んでいるところがたくさんある▲「清らかに涼しく、とらわれることない方」(ダンマ・パダ418)▲「 諸々の欲望を捨て、欲にうち勝ってふるまい、生死のはてを知り、平安に帰し、清涼なること湖水のような方」(ダンマ・パダ467)