過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

認知症のおばあちゃんが草を抜きに来る

近所の奥さんが「たいへん! うちのばあばが、お宅の生姜を抜いてしまったかも」と駆けこんできた。▲一か月半かけて、やっと芽が出たショウガだ。抜かれてしまったらたいへん。で、見に行ったら大丈夫だったので一安心。

このばあばというのが、92歳のおばあちゃん。毎日毎日、いつでも草取りをしている。朝から晩まで、雨の日も炎天下でも、からっ風の吹く寒い日でも。暗くなってきて「ごはんだよ、帰ろう」といっても、せっせと草を抜いている。▲葛のようなツルも素手で抜く。若い頃から畑仕事や土方仕事をして、朝から晩まで働いてきたという。

このおばあちゃん、じつは認知症が進んでいる。でも、生きる証のように、いつでも草を抜いている。それが、ついにうちの畑にまで抜きに来ている。▲雑草を抜いてもらう分にはありがたいのだが、こわいのは、野菜までも抜かれてしまいそうなこと。とくに、ショウガだ。いまの時期のショウガは、雑草のようにみえる。これを引きぬかれたら、かなりショックだな。

黙々といいことしている(と思いこんでいる)人を、止めるのは難しい。迷惑だからやめてねと言っても、伝わりそうもない。▲すごいねー、たいへんだねー、ありがとうとほめたたえることにした。まあ、ショウガが抜かれたら、それはそれで仕方ないけどね。なんとか、明日、竹かなんかで囲わなくちゃ。