過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ああ、人生の楽園だ。……ということばかりでもない

田舎暮らしは、自然が美しくて、空気が澄んでいて、星空はきれいだし、水も湧き水。近隣の人もいい人が多い。生活は畑を耕してローコスト。ああ、人生の楽園だ。……ということばかりでもないという話。

いちばんの問題は、仕事がない、現金収入の道がないこと。なにしろお年寄りばかりで、産業というものがない。山林も農業もだめ。ここいらで豊かなのは、公務員くらい。定年退職して退職金と年金暮らしとか、都心のマンションを売却して、その貯金で暮らすなんて人は余裕だけど。

それと、やはり地域の人間関係だ。こういう山里は、なにしろ子供の頃から、さらには親のそのまた親の代からの付き合いで密接に結びついている。そこに、いきなり新参者が入るというのは、ストレスがある。住んでみれば、けっしていい人ばかりではない。挨拶もしてくれない人もいるし、あれこれ噂や悪口を立てられることもある。

また、地域の自治会にも参加しなくちゃいけない。この自治会というのが、形骸化している。にもかかわらず、会費だけはしっかり納める。しかも高額。月に3千円も4千円も。やれ祭のための屋台の修理の積立金だの、忘年会の積立金だの、いろいろと。ひとり暮らしの僕が、地域の中学校の PTA会費まで収めている。集落によっては、神社の氏子となって会費を納めている。こないだ聞いて驚いたのは、自民党員の会費まで納めているという。そういう事に対して、意義を申し立てるというのが、なかなか難しい。そのあたりのストレスというのはある。