過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

冬はつとめて

雪が積もって、枕草子の一節が思い浮かぶ。まさに、ぼくの暮らしとぴったしの感覚。

「冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず、霜のいとしろきも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし、昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火もしろき灰がちになりてわろし。」

──なんたって冬は早朝がいい。雪の降っていると、とくにいいわ。霜などもたいへん白くてね。とっても寒い朝、火をいそいでおこして、炭火を持ってゆくなんて、とっても情感ぴったりね。昼になって、寒さがやわらいでくると、火鉢の火も白く、灰がちになるのは、つまらないけどね。(池谷訳)

ぼくも起きたら、いそいで火を熾す。昨晩のドラム缶風呂のときの消し炭を取っておいたヤツに、火をつける。これは1分で着火。鉄鍋に移して、その上に硬い備長炭を乗せる。団扇で仰ぐと火がつく。これで、半日はあかあかと燃えている。静かに燃えている赤い炭が、色といい香りといい、すてきだ。午後になると、灰になってしまうのが、惜しいけど。そして、また火を熾す。そんな暮らし。