過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

恐山を訪ねる

恐山の風景。宇曽利湖(うそりこ)のほとり。ここは極楽浜と呼ばれるが、静寂すぎて不気味だった。酸性が強いためか魚は一匹もいない。カラスがたくさん舞っていた。火山岩に覆われ硫黄臭のする「賽の河原」という荒涼とした岩場を歩いて行くとたどり着く。

恐山には曹洞宗の寺院がある。ここを訪れたのは、住職に仕事の打ち合わせのためだった。宿坊に泊まる。境内に4つの温泉の湯小屋があって、深夜たった一人で湯につかっていた。空気は澄んで星空は美しく、静寂そのもの。恐ろしいとか不気味とか、そういう感じはなかった。

下北地方では「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行ぐ」と言い伝えられている。死者の御霊を呼び口寄せを行なうイタコは有名だが、彼女たちが集まるのは7月の大祭のとき。ぼくが訪ねたのは時期はずれの8月で、まったく誰もいなかった。旧本堂には、遺影やら人形、大きな花嫁人形などがたくさん置かれていた。花嫁人形は、若くして亡くなった故人の供養に捧げられたものだ。