過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ヘビとおそれ

さきほどランを連れて散歩に行くと、河原の道にヤマカガシがいた。猛毒だが、マムシと違って逃げていくので危ないことはない。▲小さい頃から、ヘビは気持ち悪い、恐ろしいという感情が刷り込まれている。なにしろぼくはヘビが大の苦手だ。ところが、山里に越してきたら、ヘビさんがやたらと現れる。玄関前にマムシが現れたことは、二度も。

つねにヘビが出ることは前提なんで、長靴をいつも履いている。だから、突然に現れてもたいそう驚くことはない。▲ところが、いると思ったこともないところ(たとえば風呂とかトイレとか)に出てきたら、たいそう驚くだろう。さいわいそんなことに出くわしていないが。

「こういうものが出てくるハズ」という「構え」とか「スキーマ」(心象の枠組みみたいなもの)があれば、パニックにはならない。▲まあ人生も、何が起きるかわからないぞ、厄介はあたりまえ……そういう構えでいると、困難がやってきたとき、「ああ、よしよし。やはり来たか」という余裕が出てくるんだと思う。

ただ、恐れをいだいていると、それを引き寄せてしまう。「うまくいくはずがない」という思いをいだいていると、困難を引き寄せて現実化させてしまうことがある。▲困難は予想できていて、その構えは持っている。そうしてリラックスしていることがたいせつ。小鳥が枝に止まって安心しているのは、枝が折れないからではなくて、自分の翼を信頼しているような。そのあたりの自然体の構えは、なんどもインドを旅をして幾度も危ない目に遭って体得したことだが。