過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

イワシと火の玉

新鮮なイワシは安くて美味しい。刺身にしても蒲焼にしても天ぷらにしても。東京にいたときには、よくアメ横で買ってきた。▲イワシや鯖は「ひかりもの」という。波打ち際などで太陽に反射して、キラっと光るからだと思っていた。ところが、実際に真っ暗いなかで青白くぼおっと光るのだ。

これを知ったのは、昨年の台風で一週間の停電になったときのことだ。▲冷蔵庫のものが腐るのでイワシを取り出した。すると、蛍光塗料を塗ったみたいに青白く光るので驚いた。なるほど「ひかりもの」というのは、それでいうんだ、と知った。

飛躍するけど、むかしは「墓場で火の玉を見た」というような話を聞いた。▲それは、土葬したとき遺骨が腐敗して「リン」が発生して発火するらしい。尾を引いて、ぼうっと空中を浮遊するらしい。色も青白・橙・赤などさまざまで、炎の尾を引く長さも異なったらしい。残念ながら、ぼくはまだ見たことはないけど。

この「火の玉」はすなわち「死者の魂」と思われたことだろう。▲「魂魄」(こんぱく)という考えがある。魂は精神を支え、魄は肉体を支えている。死ぬと、魂と魄に別れる。魂は天に帰り、魄は地に帰る。だから、火の玉は、魂が天に帰るときのすがたと思われていたようだ。