過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

スギの売買価格

原木の買い付けをしている方を訪ねた。きょう島田市の材木市場で丸太を仕入れるというので、売買価格の相場を見せてもらった。▲丸太は「一本いくら」というよりも、太さによるので、「体積あたりいくら」……という価格になっている。ざっと太い丸太一本の取引価格を見せてもらうと、7000円とか9000円とか、そんな程度だ。

外国からの木材が安く入るし、住宅着工件数は下がるばかりだから、木材の価格はいよいよ下がりっぱなし。▲材木を売るには、山に道を作り、木を伐り、運び出さなくてはならない。その工賃が出ない。赤字になっているのが現状だ。だからこのあたりでも、林業をやる人は、ほとんどいない。

戦後、木材の需要が急に増えて、至る所せっせとスギ、ヒノキが植えられた。でも、その価格がどんどんと下落して、間伐できないし伐ることもできない。だから、山林は荒れはてたままだ。▲密集した杉林では、下草が生えず、実をつける樹も育たず、動物たちも暮らせない。死んだような、ひっそりした杉ばかりの山また山となってしまった。

戦後、ブナやナラなどの広葉樹を切り倒しては、スギ、ヒノキを懸命に植えた苦労が、まったく実らない。▲そればかりか、森林そのものをダメにしてしまっている。なんにもしないで、そのままの広葉樹の山であったなら、どれほど美しい豊かな自然の景観になっていただろうか。▲峡谷とか厳しい崖のあたりは、当時でも植林できなかったために、広葉樹が残っている。そういう広葉樹たちに出会うと、ほっと心が安らぐ。広葉樹を植える、という国民的な運動が起きていくといいなあと思う。▲せめて、ドングリの苗を少しでもわがやの敷地に植えていこうかな。