過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

困難を切り抜けるワクワク感のインド

友人から初めてのインド旅で苦労しているメールが届いた。ぼくの初インドはもたいへんだったな。▲初めてのインドは36歳のとき。20年以上も前のこと。会社員だったので、年末年始の休暇を利用しての10日余の旅。行き先もゲストハウスも定めない、行きあたりばったりの旅だ。

マトゥラーというヒンドゥーの聖地を旅したときのこと。最終日に宿代を払おうとTC(トラベラーズチェック)を切る。が、受け取れない。ドルかルピーでないとだめ、と言う。ところが、もう現金がない。▲仕方ないので、町の銀行に行く。ところが驚いたことに、ド田舎のために、この二つの銀行もTCを交換してくれない。▲ドルもルピーもなければ、帰りの切符も買えない。その日のうちに日本へのフライトの予定だった。帰れない。困った。

もう時間がない。きょうデリーに戻らないと、日本に帰れない。なんとかしなくては。▲そのとき、ひらめいた。ディパックの中に、いろいろ日本製のモノがある。カメラ、懐中電灯、ライター、マグカップ、ボールペン、アクセサリー……。それらを取り出して銀行のカウンターに並べた。▲銀行の中だが、だれもとがめない。すると、わっとみんなが寄ってきた。銀行員も、買いにきた。

その場で、カメラ以外はすべて売り切ってしまった。そうして得たルピーで宿代と切符を支払って、無事、日本に帰ることができた。▲うわー困ったー!どうしよう! でも、なんとかそこから切り抜ける。そういう体験は、インドでは日常茶飯。そこがインドの旅のワクワク感であり、その体験が日本の暮らしでも生かされてゆくことになる。