過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

いつか農機具博物館みたいなものに

どこの山里もそうだろうが、ここの地区もお年寄りばかりになっている。今夜は、近くのお年寄りが亡くなってお通夜に行く。この山里に越して二年だが、この間に、地区の葬儀に出たのは10件は超える。▲お年寄りが亡くなったり、後継者がいなくて、農業や製茶業などは廃業となる。使われていた農機具や手仕事の道具などは、廃棄されてしまう。

廃棄される道具は、脱穀に使う唐箕(とうみ)、藁を切る押切、牛に轢かせたスキ、大木を伐るノコギリ、石臼、秤、お茶箱……。もう二度と、この世にはあらわれないものばかりだ。▲それらの道具は、生活実感がしかと伝わってきて、重みがある。美しいと思う。ゴミになるのは、かなしい。▲ぼくは、知りあいのリサイクル屋から、それらの道具をいろいろともらいうけている。いつか農機具博物館みたいなものにしたいと思うが、うちの納屋はそれほどは大きくない。

それで、この山里にはあちこちに廃校や使われない茶工場などがある。今年、廃校になったばかりの小学校もある。そこにこれらの生活雑貨、道具を保管できたらいいなあと思う。▲捨てるのなら、そこに保管しておく。そして、ボランティアで整理して、どういう使われ方をしたのか説明書きを添える。さらには、お年寄りに、こうして使ってきたという実演とおはなしをしてもらう。そんな企画をあたためている。いずれ行政に提案してみるつもりだ。