過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

パラナシ──火葬場をめぐる人々(3)

必要な薪の代金が揃わず半焼けで終わる遺体もある。遺灰にならなくとも、そのまま河に流されることになる。ガンガーには、半焼け遺体、動物の死骸、木屑などが浮かんでいることもよくある。

葬儀が終わっても、火はまだくすぶっている。焼き尽くされなかった肉を求めて、痩せて皮膚病の犬たちがやってくる。カラスが集まる。さらにはノラ牛までやってくる。牛は焼け残った遺体の布を食べている。

小さな女の子が、焼け跡に這いつくばっている。六歳くらいだろうか。壺を抱えている。消し炭を素手で拾い集めているのだ。顔も手も煤で真っ黒。その炭は、燃料にするのだろうか、売り歩くのだろうか。

火葬場からすこし離れてガート(沐浴場)がある。沐浴でごったがえしている。すこし離れると、洗濯している人がいる。チャーイ屋がいたので注文する。ちかくに水道はないぞ。きっとガンガーの水だ。チャーイを数杯飲んでしまったあと、そのことに気がついた。

焼けていく遺体を眺めていると、かならず声をかけてくる者がいる。頼みもしないのに説明する。「ああ、うむ」と生返事をしていると、「貧しい者のために薪代を寄付しろ」とすごんでくる。「ガイド料をよこせ」とも。

遺体をカメラで撮影しようものなら、「ここは聖地だ。不敬だぞ」と数人に囲まれる。ペナルティとして金をふんだられそうになる。ここでは、うぶな外国の観光客から金を巻きあげようと、虎視眈々と狙っている男たちがうろうろしているのだ。