過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「死を待つ人の家」を訪ねて(2)

カーリーテンプルの一角に、「死を待つ人の家」がある。まさに死にゆかんとする人の最期を看取るための施設であった。

カルカッタ(現コルカタ)は、インドの東の玄関で、人口は一千四百万を越す大都市だ。ところが、ホームレスは二百万人とも三百万人ともいわれている。

通りを歩いていると、道ばたで寝ているものは数知れず。貧しさゆえに医療も受けられず放置されたり、食を得られず体力も失い、道ばたで死を迎える者たちがいる。道ばたで生まれ、道ばたで死んでいくのだ。

カルカッタでは、路上に倒れている人たちを見るのは驚くことではない。倒れて動かない者がいたら、蹴っ飛ばされる。動かないのは瀕死の者なので、マザーの施設につれていかれるんだとも聞いた。

施設は、男女に分かれて百ほどのベッドがあり、息も絶え絶えの病人たちが毛布にくるまって横たわっている。仕切りもなく野戦病院のような光景だ。

各国のボランティアの青年が奉仕活動をしていた。老人を抱き抱えながらミルクを与えている。体をふいている。シーツを洗濯している。下の世話をしている。

栄養失調、結核マラリアハンセン病などさまざまな理由で瀕死の状態になって担ぎ込まれてくる。壁には伝染病で亡くなったシスターの写真が貼ってあった。まさに、わが身をいとわぬ体当たりの奉仕だ。わたしには、とてもできないことだと感じた。